AquaSKK 4.4.1
AquaSKK 4.4.1で設定画面で辞書を追加する際に file:// がついてしまう問題を修正した。詳細は、Issues #55に書いてある。 あとスクリーンショットの壁紙がかわいい。
ダウンロード
https://github.com/codefirst/aquaskk/releases/tag/4.4.1
経緯
デレステ辞書を作るのを手伝っている途中で指摘されたので、「すみません、すみません」と思いながら修正した。
この挙動はかなり前から認識していて、実際たまに困っていた。 ただ、たまになので手動で直して回避してしまっていた。
ちょうどいい機会なので、勢いで直した。
要約
生 産 性 が 上 が り S K K 実 装 の バ グ 取 り が 捗 る デ レ ス テ 辞 書
— マロニー (@mlny_c) 2016年9月2日
GithubとTrelloの連動
GithubのラベルとTrelloのリストを移動を連動させるprprのプラグインとして作成した。
https://github.com/mzp/prpr-trello
解決したい問題
Misocaの開発チームではタスクをTrelloで管理している。 そのため、タスクに対応するPull requestをレビュー待ちにしたら、Trelloのカードを「レビュー待ち」リストに移動するという運用をしている。
しかし、この移動を忘れがちでレビューに支障がでていた。
prpr-trello
この問題を解決するために、prpr-trelloを作成した。
これは、Pull requestのdescriptionの一行目にTrelloカードのURLが書いている場合、以下のようにカードを移動する。
- WIP用のラベルをつける: 作業中リストに移動する
- REVIEWラベルをつける: レビュー待ちリストに移動し、カードの説明にPull requestへのリンクを追記する
- Pull requestを閉じる: 完了リストに移動する
余談: 開発前夜
ぼく「....みたいなbotほしくないですか?」
@kokuyouwind 「あれ? 今でもそういう機能ありませんか? ほら、例えばこれとか」
ぼく「それはボクが毎朝、手動でやってるんです...」
論文紹介: The Evolution of C Programming Practices: A Study of the Unix Operating System 1973–2015
ICSE 2016勉強会に参加するために論文リストを確認していたら、40年間のC言語のプラクティスの変遷を追った論文がおもしろかったので紹介する。
対象の論文
- 論文: The Evolution of C Programming Practices: A Study of the Unix Operating System 1973–2015
- 論文中で使われれたデータ: https://github.com/dspinellis/unix-history-repo
要約
過去40年間のUnixのソースコードを分析し、コーディングスタイルの変化を調査した。その結果、以下のことが分かった。
分析対象
1972年以降にリリースされた計66個のUnixを対象とする。 これには以下のものが含まれる。
分析したリリースをタイムラインにまとめると以下のようになる。
(Figure 1: Timeline of indicative analyzed revisions and milestones. in Proc. of ICSE '16, p.754)
立てた仮説と結果
事前に立てた仮説と、分析によりその仮説が支持されたかどうかについて述べる。
なお以下に示すグラフは Figure 2: Long term evolution of programming practices. (Metrics appear in alphabetical order; the number following the metric name is adjusted R2). in Proc. of ICSE '16, p.755からの引用である。
H1: 技術の進歩によって、プログラミングプラクティスは変化する
画面解像度や通信速度などの向上にともない、識別子や行が長くなっていくと考えた。
分析の結果、以下の平均値が増加していることが分かった。
- ファイル行数 (FILINE)
- ファイル内のステートメント数 (FISTMT)
- 行の長さ(文字数) (LICHAR)
- 識別子の長さ (IDCHAR)
一方、関数の平均行数(FULINE)はこの仮説と関連しているが、途中から減少している。これは複雑になりすぎたことへの反応であると考えられる。これに関してはH6で議論する。
これらにより仮説は支持された。
H2: コードの規模とともにモジュール性が増す
コード規模が増えるにつれて、開発者はモジュール化を進めるのではないかと考えた。
分析の結果、可視性を制御するためのstatic(DSTATIC)が増加していき上限値に達していたことが分かった。最近、若干減少しているのは、カーネルモジュールや共有ライブラリといった言語外の仕組みが導入されたためと考えられる。
これらにより仮説は支持された。
H3: 新しい言語機能は一定数に達するまで使用が増加していく
unsignedキーワードといった新しい言語機能は、使用箇所が増えていき飽和点に達すると考えた。
分析した結果、以下のキーワードの使用は増加していることが分かった。
- const(DCONST)
- enum(DENUM)
- inline(DINL)
- unsigned(DUNS)
- void(DVOID)
- volatile(DVOL)
基本的に上昇傾向だが、 enumとinline は部分的に下降している。開発者が態度が変化した時期があると考えられる。
unsigned はここ数年で減少している。 これは以下の2つの要因が考えられる。
- size_t が導入され、それが使われる箇所が増えた。
- 64ビットアーキテクチャが導入され、扱える数値の幅を広げるために unsigned が使われることが減った
signed(DSIGN)はあまり使われていない。signedキーワードはchar型に符号付きの値を格納する際に利用できるが、現在では必要になることはない。
これらにより「その言語機能が便利ならば」という限定付きで仮説は支持された。
H4: 開発者はコンパイラのレジスタ割り当てを信頼している
コンパイラ技術が発展しレジスタ割り当てが改善するにつれて、開発者はコンパイラのレジスタ割り当てを信頼するようになっていったと考えた。
分析の結果、registerキーワードの使用(DREG)は1990年ごろから減少していることが分かった。
H5: コードの書き方は収束していく
Unixという一つのプロジェクトで作業してるため、共通のコーディングスタイルが採用され、コードベースは均一になっていくと考えた。
分析した結果、コードフォーマットのばらつき(FMINC)やインデントのばらつき(INDEV)は減少していったことが分かった。
これにより仮説は強く支持された。
H6: ソフトウェアの複雑性には自己修正機構が働く
ソフトウェアが進歩に複雑性は増し、人間の限界を越えてしまう。 そのため、成功したプロジェクトでは複雑性を減少させる自己修正機構が働くと考えた。
分析した結果、以下の項目が、いったん複雑性を増したのち減少に転じるというパターンを示した。
goto(DGOTO)についても同様のことが言える。 gotoは長期間減少しつづけていたが最近は増加している。 gotoの有用性に気付いたのかもしれない。
H7: コードの可読性は増す
開発者コミュニティで管理しやすくするために、可読性は増していくと考えた。
これを調べるために、以下の項目を分析した。
- インデントのためのスペースの平均値(INSPC)
- ステートメントの密度(DSTMT)
- コメントの文字数の密度(DCMCHAR)
- コメントの文字数の平均値(CMCHAR)
- コメントの密度(DCM)
- TODOコメントの密度(DKLUDGE)
コメントの密度とコメントの文字数の密度が増加したのち減少しているのは、より長い識別子が使えるようになって、自己文書化が進んだためと考えられる。
ステートメントの密度は減少傾向にあるが、2000年ごろから増加している。これはコメントのついていないステートメントが増えていることを示す。インデントのためのスペースの平均値も減少していたものの、最近は増加している。 そのため、Unixのソースコードの可読性が今も増加していることの確証は得られなかった。
まとめ
長年にわたるUnixの発展を追跡することで、Unixの開発者が以下のことを行なってきたことが分かった。
- ハードウェアの進歩にあわせてコーディングスタイルを変化させる
- 複雑度が増すにしたがいモジュール化を促進させる
- 価値のある新しい言語機能を採用する
- コンパイラにレジスタ割り当てをまかせる
- コードの書き方に関して合意に達する
また、ソフトウェアの複雑性と自己修復機構が関連していることと、文書によるコード構成の改善が頭打ちになっていることも発見した。
🍓 橘ありす分類器
GWに日光に開発合宿に行ってきた。
「機械学習で遊ぼう」をテーマにしたので、橘ありす分類器を@banjunと作成した。
成果物
m@gic-with-arisu from MIZUNO Hiroki on Vimeo.
ありすには青枠を、それ以外には赤枠を表示している。
宿
日光東照宮至近の炭火焼きの宿・ペンションはじめのいっぽに宿泊した。開発合宿に理解のある宿でよかった。ただ、理解があるあまり「昨日は成果でましたか?」と聞かれてつらい思いもした。 進捗を聞かれるより、成果を聞かれるほうが厳しい。
また旧型のiMacがあってよかった。起動したらバージョン1のSafariや、Mac版のIEが入ってて楽しかった。
ありすの調達
@banjunがデレステのガシャを引きまくって、SSRありすを調達した。
限定SSRというのは,やばい (いまここ)
— ばんじゅん(!!) (@banjun) 2016年4月30日
v えへへ‥SSR4枚も引けたから満足です‥ v pic.twitter.com/Sx5mHyaXic
— ばんじゅん(!!) (@banjun) 2016年4月30日
ありすはちょろ・・・クールだな! #デレステ pic.twitter.com/B0oG6ZXHWC
— ばんじゅん(!!) (@banjun) 2016年5月1日
学習データの作成
学習データとしてAngelBreezeとTulipのMVを撮影したのち、顔画像を切り出して学習データを作成した。
顔画像の切り出しはOpenCVによるアニメ顔検出ならlbpcascade_animeface.xml - デーを用いた。また毎フレームを切り出すと多くなりすぎるため、ある程度間引いている。
切り出した顔画像がありすかそうでないかを入力するために、専用のiPhoneアプリを作成した。データの更新や反映を容易にするようDropboxと連携できるようになっている。
ありす分類器がだいぶ洗練されてきた。 pic.twitter.com/jE7B2jcLIZ
— mzp (@mzp) 2016年5月4日
- 顔画像の切り出し: https://github.com/mzp/arisu-in-fact/blob/master/split.py
- 学習データの作成: https://github.com/banjun/arisu-in-fact
このタイミングで大量の顔画像が手に入って楽しかった。
学習
ありす画像が117枚、非ありす画像が107枚得られたので、機械学習によって分類器を作成した。このとき用いたモデルは4コマ漫画の画像管理✨ - みずぴー日記と同様のものである。
分類
学習に用いたMVとは別にM@GICのMVを撮影し、各フレームの各顔画像に対してありす・非ありすの分類を行なった。 そして得られた結果を元に、動画を合成した。
その他
see_no_evil
せっかくの日光なので🙈(:see_no_evil:)の実物を見て、闇のようなコードと戦う気持ちを新たにした。
🙉🙊🙈 pic.twitter.com/p6fPST6nyU
— mzp (@mzp) 2016年5月5日
いちご
ありすといえばいちご、ということで完成したあとにいちごを食べに行った。
より正確には、インターネットでいちごパフェを出している店を調べて向ったがすでに潰れたあとで、どうしようかなぁとふらふらしてたら、たまたまいちごを路上販売してたので買って食べた。
レポジトリ名の由来
iTerm2 + AquaSKK
要約
iTerm2のmasterにAquaSKK対応入った。l とかで英数に切り替えようとしたときなどに、文字が入力されてしまう問題への対処。デフォルトはOFFになってるので、Preferences -> AdvancedでAquaSKKと検索して、Yesに設定する必要がある。
— 武藤スナイパーカスタム (@__tai2__) May 15, 2016
経緯
iTerm2 + AquaSKKには、l/L/q/Qで入力モードを切り替えるとその文字も入力されてしまう問題がある。(参考: iTerm2/Apple TerminalでAquaSKKを使う - みずぴー日記)
これを修正するPull requestを @__tai2__が作ってくれたので、取り込むための各種議論に参加していた。
そのPull requestが本日(2016/5/15)masterに取り込まれたので、次回のNightly BuildsやTest Releasesとともにリリースされるはず。
闇
「このAppleのドキュメントには、キーが押されたらテキストが入力されるか、ショッートカットキーが発動するって書いてある」「こっちのドキュメントにはInputMethodにそんな制限は書いてないけら、どちらも呼ばないのもありのはずだ」という闇のような議論がはじまった
— mzp (@mzp) 2016年4月23日
OS XのTextEditでnを長押ししたときの挙動がInputMethodによって違うってマジかよ...。日本語入力の英数モードだとnがリピートされて、US配列モードだとñ や ń とかの選択肢がでる。 pic.twitter.com/KQhJZvBjXH
— mzp (@mzp) 2016年5月13日
🇯🇵 SJIS/EUC-JPのテキストファイルをQuick Lookする
QuickLook便利なんだけど、SJISやEUC-JPのテキストファイルが見れないのが面倒だな
— mzp (@mzp) 2016年5月7日
SJIS/EUC-JPのテキストファイルをQuick Lookできないのが不便なので、プラグインを書いた。
ダウンロード
https://github.com/mzp/qltext-jp
実装
Quick Lookされたときにエンコードの自動判定を行ない、その後の表示はシステムにまかせている。
実装は以下のプラグインを参考にした。
また文字コードの判定は以下のコードを用いている。
他の方法
xattr
xattr
で拡張属性を設定すれば特にプラグインをいれなくても、Quick Lookできる。(参考: Mac の Quick Look をちょっとだけ快適に – xattr 編 – (フェンリル | デベロッパーズブログ))
xattr -w com.apple.TextEncoding "SHIFT_JIS;2561" README.txt
が、毎回これをやるのは大変なので、Quick Lookプラグインを作成した。
quicklook-jptxt
GitHub - ento/quicklook-jptxt: Quick Look plugin for public.plain-text with better encoding handling. を使えば同等のことができる。文字コード判定が微妙に違うくらい。
これでダメな理由は特にないが、まあ作りかけてしまったので完成させてしまった。
その他
最近はSJISのファイルってあまりないよね。
sjisのファイルないけど
— ばんじゅん(!!) (@banjun) 2016年5月7日
AquaSKK 4.4.0: 互換性のための設定画面追加
AquaSKKが正しく動作しないアプリケーションのための設定画面を追加し、AquaSKK 4.4.0をリリースした。
ダウンロード
https://github.com/codefirst/aquaskk/releases/tag/4.4.0
変更点
一部のアプリケーションでは、l/Lによる入力モード切り替えが動作しないため、特別な回避策が必要となる。
これまでのバージョンでは、回避策を適用するアプリケーションリストをコード中に直接記述していた。 そのため、アプリケーションリストを更新するためにAquaSKK本体の更新が必要となっていた。
この対応がだんだんと厳しくなってきたので、設定画面からアプリケーションリストを更新できるようにした。
余談: 名称の由来
基本的に回避策は意味がよくわからないことをしているため、設定画面のラベル名を決めるのが大変だった。 最終的に結城(@hyuki)氏の案を採用した。
@mzp 露払後確定
— 結城浩 (@hyuki) April 23, 2016
余談: お願い
この設定はあくまで回避策なので、できる限りそのアプリケーション側にバグレポートを送信してほしい。 闇に闇を積み重ねるのはよくない。