🌕月を売った男
人月の神話では、理想のチーム形態として、R.A.ハインラインの月を売った男の文章が引用されている。
引用されている文章(要約)
プロジェクトのリーダーが雑務に追われることを嘆くところから引用ははじまる。
コスターは両手で顔をおおってしまったが、やがて顔を上げる。「わかってます。なんとかしなければいけないとわかっているんです --- しかし、わたしが何か技術的な問題と取り組んでいると、阿呆なとんちきがやれ輸送の問題だ、やれ電話だなんだかんだと、つまらんことでわたしに決定を求めてくるんです。 すみません、ハリマンさん。自分ではやれると思っていたんですが」
出資者がその事態を改善するために業務を調整する。
ハリマンはうんとやさしくいった。 「(略) わたしが4、5日そのデスクにがんばって、きみがそんなつまらんことから守ってもらえるような体制をととのえよう。 わたしが求めているきみの頭脳は、反動ベクトルとか燃料効率、設計荷重などということを考える頭脳で運送契約なんかを考える頭じゃないからな」
さらに今後の業務を調整するアシスタントもつける。
「ボブ、ジョック・バークリュウイーを紹介しよう。彼はいま、きみの奴隷だ。 きみは主任技師で最高のだれにも制約されない責任者のままだよ。 ジョックはいわば、ほかの仕事を引き受ける摂政殿下だな。 これから、きみは全然何にもわずらわされることはないよ --- ただ、月ロケットを作る細部の問題は別だがね」
おもしろい点
たしかに理想的なチームのように思える。 この「月を売った男」は1950年でた小説なので、60年以上前に描写されたチームが理想的に思えるのはおもしろい。
さらにおもしろいことに「月を売った男」は絶版しているが、人月の神話は新装版が入手可能である。 引用の中に生きつづけるSF小説、ロマンがあってよい。
手元にある「月を売った男」と「人月の神話」
引用されている文章がよかったのでAmazonマーケットプレイスで購入した本。
「いまだ色あせない」と書こうかと思ったが、本はだいぶ変色していた。「近ごろは、技術的な仕事もあまりできてないな?」「やろうとはしているんです」のやりとりもだいぶいい。